11. CAEテンプレートの活用
CAEテンプレートは、筆者が10年ほど前にCATIAのパブリケーションを利用した解析モデリングの一手法として考案した仕組みです。当時はCATIA R12が展開された頃ですがCAEモデルへのパブリケーション適用には多くの制約がありました。その後リリースアップ毎に改善されて現在は安定期に入っていると感じています。
図1に示す通りCAEテンプレートは、部品形状を全く違うものに変えたり、アセンブリ構成部品の組合せを変えた場合に、最初と同じ解析条件で繰り返し計算するための効率的な解析モデル構築手法です。
- @解析モデリングのノウハウ組込み
- A設計案の絞り込みなどの繰り返し解析を効率化
- B条件設定の間違いなど計算ミスを防止
アセンブリの構造解析では主要部品の設計変更に伴い、多くの条件の再設定が必要となる
(メッシュサイズ、荷重、拘束、結合など)
CAEテンプレートを使用すればこれらの再設定が不要になり設定ミスも生じません
図1. CAEテンプレート活用のメリット
CAEテンプレート活用のメリットは以下になります。
@解析モデル化のノウハウ蓄積(CAEエキスパートによるワークフロー組込み)
A設計者がCAEノウハウを暗黙的に利用できる
B画一的な計算結果を得られるため計算ミスを防止できる
一方デメリットとしては、CAEテンプレートを解析パターン毎に作成する必要があることです。したがってすべての解析パターンをCAEテンプレートの対象とするのではなく、設計者が日常ルーチンワークとして実施する解析パターンを選別してテンプレート化すべきと思います。
設計者が、設計プロセスの上流からCAEを頻繁に取り込み、魅力品質向上を目指した製品設計を推進するには、CAEの実践をルーチンワーク化する必要があります。設計者自身が、CAEで精度の高い計算結果を得るために時間を費やして、試行錯誤することは設計者の本来のミッションと異なると考えます。CAEエキスパートによって確立されたワークフローに沿って、短時間で正しくCAEを実践できるのであればルーチンワーク化は実現します。
この実現手法の一つとしてCAEテンプレートがあります。CAEテンプレートは、図2に示すようにメッシングの対象となる形状モデル、解析条件および結合条件の設定対象となる幾何形状をパブリーケーションを施して汎用化することにより、構成を柔軟に変化させて繰り返し解析できる仕組みです。
CAEテンプレートモデル
図2. CAEテンプレートのしくみ
図3にCAEテンプレートのデモ用サンプルモデルを示します。
図3. CAEテンプレートモデル例
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弊社では、CAEテンプレート以外にもナレッジやマクロによる、プロセス自動化やCAAによる専用システム開発などルーチンワーク化推進の支援メニューを準備しております。特に、CAAによる設計者CAE専用システムの開発については、開発エンジニアとCAEエキスパートのコラボにより、最近いくつも大きな実績を上げております。この実績は、「Why ファソテック」の訴求ポイントの一つであると自負しております。
ぜひ設計者CAE推進にご興味をお持ちの方は、お気軽に弊社へお問い合わせください。
さて本連載コラムも次回で最終になりますので、次号では最近の動向を踏まえて設計者CAEステップアップについてお話します。
以上
2013年 11月
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