8.データマッピング
設計者CAEを行う際に、ランダムな特性あるいは関数で表現された特性をモデル全体にわたって与えることがよくあります。このような場合は関連する幾何形状に直接特性を付与することが難しいので、まずモデルを包括する空間に点群データを定義して、それから対応するモデル部位に特性値をマッピングする方法が用いられます。これをデータマッピングと呼びます。
CATIAの持つデータマッピング機能では、モデルを包括する空間に圧力分布、温度分布および板厚分布を定義してモデルにマッピングできます。
1) 圧力データマッピングの例
水面からの深さに比例する水頭圧を構造物に作用させる場合は、作用空間に圧力を線形に変化させた圧力データ点群を定義すれば表現できます。図1に外周に水頭圧が作用する円筒構造物の解析例を示します。点群の粗さはメッシュサイズより小さい方が圧力値が精度良くマッピングされます。
図1. 圧力データマッピング例
2) 温度データマッピングの例
伝熱解析で得られたモデル全体にわたる温度分布をデータマッピング機能を使って節点に与えることができます。図2は熱流体解析(有限差分法)で計算された格子点上の温度結果を有限要素法モデルに温度荷重としてマッピングした例です。
図2. 温度データマッピング例
3) 板厚データマッピングの例
成形等によって板厚が徐変する樹脂部品やプレス部品をシェル要素で解析するとき、モデル全体にわたり板厚特性を要素ごとに変化させる必要があります。このような場合にデータマッピング機能を使うと板厚分布を容易に設定することができます。マッピングする板厚分布データは実測値あるいは前段の成形解析の結果を流用することができます。
図3. 板厚データマッピング例
以上の例で示した通り、データマッピングは流体解析と構造解析、または成形解析と構造解析などの連携解析に対して連携データの受け渡しをスムーズに行えるメリットがあります。
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次号ではCATIA便利機能紹介の第3弾として、ボリューム分割アドバンストメッシングをお話しします。
以上
2013年 8月
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