市光工業株式会社様 |
日野自動車株式会社様 |
AP Racing社 (海外導入事例) |
ハイライト
- ヘッドランプやミラーなど同社の主力商品のデザインも多様化し、より現物で確認する必要性が高まっています。Edenの導入により、従来の3D CADでのCGによる設計・デザイン、データ収集に加え、実物の質感・フィーリングを確かめられるようになりました。
- 設計、デザインから量産までの期間短縮化では、試作品製作までの段階で、形状確認、組み立てシミュレーションを行うことが大切になります。それを実現することで金型修正や設計変更などの時間的・作業的ロスやムダを削減しました。
それぞれのクルマに合せてデザインされた
ヘッドランプ、リアコンビネーションランプ、
ドアミラー
納入先の多様化に対応
市光工業はいま、国内全自動車メーカーをはじめ海外自動車メーカーとの取引もあり、納入先は多岐にわたっています。その納入先の多様化のなかで、納入先のニーズ、また市光工業自身が自社に求める技術水準も高度なものになっています。
それはたとえば、
- 同社製品の搭載車種が多品種化することで製品も多品種化し、デザイン面も高度化してきました
- 設計・デザインから量産の過程、とくに開発期間について、コスト削減を実現しつつスピードアップすることが不可欠になっています
といったことです。このなかで、1. については、とくに設計・デザインに関して3D CADによるCGでのデータ収集・対応に加え、試作の段階で、より正確な現物で形状確認、組み込み、組み立てシミュレーションなどを行うことが大切になります。一方、2.については、これまで金型を製作したあとに金型修正があったり設計変更が生じたりすると大幅な時間的・作業ロスやムダが生じたのですが、それをなくすために試作品段階での精緻な検討の重要性が増していたのです。
「もちろんCGでは製品をさまざまな角度から確認し、設計上の細かなデータを収集しますが、製品の”見栄え”がよすぎるような面もありました。CGだけでは質感も乏しいものです。だからこそ、正確な実物を試作品として製作し、確かめる必要性を強く感じていたのです。たとえばランプなら現物に点灯してみて初めてわかる質感・肌触り・フィーリングがあります。一方で、金型を製作してからあとの段階で金型を修正したり設計を変更するようなモノづくりはできなくなっています。つまり、金型をつくる前段階で形状を詰め、開発にいたる検討のすべてを終わっていなければなりません。その対応がEdenを導入することによって実現できるようになりました。」(技術管理課、以下同)
Edenの導入によって、「試作のプロセスと意義」が変わったともいえるでしょう。
数社のRP装置を検討する
市光工業ではEdenの導入にあたって、数社のRP装置を比較検討しました。RP装置には、光硬化樹脂にレーザーを照射する光造形方式、樹脂の溶融積層方式、硬化触媒吐出により積層するインクジェット方式などいくつかのタイプがあります。そのなかで、石膏の粉を固着するタイプは価格的には安いものの埃・ゴミがどうしても出ること、表面処理・強度・各部位の取り付け確認などに難があったとのことです。
そこで、樹脂を積層するインクジェット・タイプ、なかでもEdenを導入したのですが、そこには次のようなさまざまな「決め手」がありました。
- 複雑で入り組んだ形状や曲面の造形などにすぐれていること
- 16ミクロンの積層厚が実現する風洞確認、はめ合わせ確認、標準部品を取り付けた作動確認など仕上げの精度
- 塗装などの表面処理の容易さ
- サポート除去やカートリッジの交換など操作の容易さ
- 造形サイズがX490mm x Y390mm x Z200mmで従来機より大きな試作品をつくることができること
材質、造形精度・仕上げ、時間・コスト・操作性、設置、金額などに関する各設計部門からの要求基準と比較機械の評価基準を点数化し、検討したとのことです。
Eden で「マスク」を作成する
市光工業では2007年、さらに新しい取り組みを始めています。
ヘッドランプは先端のレンズ部をハウジング部分が支える形状をしていますが、レンズ部の傷などを防ぐコーティング加工をする際などに、この接合部にマスキングをする必要があります。それは、従来は金型を製作してからマスクを製作したり、場合によってはレンズ部が製品としてできあがったあとに、ひとつひとつ接合部をマスキングするなど、時間や手間のかかる工程でした。その点、Edenで試作品を製作した段階でその試作品を用いてマスクをつくれば、大幅に工程の効率化を図ることができるのです。
これは、Edenでヘッドランプなどの「製品の試作品」を製作するだけでなく、試作品を活用して「製品の製造過程で必要な材料部品」を製作するという取り組みです。試作品の用途を拡大する活用方法ともいえるでしょう。
市光工業株式会社 技術本部
「耐熱性」「透明さ」でさらに進化を
Edenにこれから何を求めますか?その問いに、市光工業からは「耐熱性や透明性ですね」との答えをいただきました。自動車用ランプは点灯させると高熱になるものもあり、同社では130℃以上に耐えうる仕様を求めています。その温度に耐えうる樹脂による積層が実現できれば、試作品での確認はより精度の高いものになるでしょう。
また透明性に関しては、いまは半透明の樹脂での積層が可能です。これもさらに透明に近くなれば、点灯時の試作品の質感をより高めるでしょう。
お客様情報
※2007年6月作成